今、僕には10歳の子供がいる。
最近、子供の将来について考えることが増えた。
20年後の2046年。僕は69歳になり、子供は30歳になっている。
30歳といえば、仕事をして社会の中心で働いているかもしれないし、家庭を持っているかもしれない。
そこで、ふと思った。
この子が30歳になったとき、どんな世界で暮らしているんだろう。
AIはどこまで進化している? 仕事はどうなっている? 食料や水は十分にある? 災害は増えていない? 古くなった道路や橋は誰が守る? 人間はもっと長生きしている? 世界の国々はうまく共存できている?
そして何より、人は今より幸せに暮らしているんだろうか。
僕は未来学者でもなければ、経済の専門家でもない。だから2046年がどうなっているかなんて当然分からない。
でも20年も先を見て株式投資をするつもりなら、20年後の世界を少しくらい想像してみてもいいんじゃないかと思う。
「20年後にどの株が上がっているか」を当てるより、「20年後に僕たちは何に困っているか」を考えた方が、長期投資のヒントになるんじゃないか。
- 1 2046年6月、朝6時30分
- 2 でも世界中が「古いインフラ」に困っているわけではない
- 3 朝7時、AIは何を食べて動いている?
- 4 朝8時、人が足りない街を誰が動かす?
- 5 昼12時、食べ物と水は普通に手に入る?
- 6 午後2時、世界で人がもっと動くようになったら?
- 7 午後3時、資源を「掘る」だけで足りる?
- 8 午後5時、僕は69歳。でも「老人」なのかな?
- 9 午後7時、便利になるほど守るものも増える
- 10 夜9時、便利になった僕は幸せなんだろうか
- 11 こうして考えると、投資の見え方が少し変わった
- 12 10歳の子供が30歳になる世界だから
- 13 2046年の困りごとから、実際の企業を調べてみる
- 14 今の僕が実際に投資しているもの
2046年6月、朝6時30分
目を覚ます。家のAIは、僕が起きる前から動いている。今日の予定、天気、健康状態、交通状況。必要なら一日の予定まで組み替えてくれているかもしれない。
「昨夜の大雨の影響で、いつもの道路は避けた方がよさそうです」
そんな通知が届く。そこでちょっと考える。道路に異常があることを、誰が見つけたんだろう。
道路や橋、河川、斜面にセンサーがあり、衛星やドローン、カメラから集まった情報をAIが解析しているのかもしれない。
僕は仕事で道路や斜面、河川などに関わっている。そこで感じるのは、インフラって、造ったら終わりじゃない。造った瞬間から少しずつ古くなっていく。という当たり前のことだ。
国土交通省の資料では、2040年には建設後50年以上となる道路橋が約75%、トンネルが約53%になる。気象庁も、日本では極端な大雨の発生頻度が今後も全国平均で増えると予測している。
古くなるインフラ。増えるかもしれない災害。そして、それを維持する人は減っていく。
仕事をしていると、「これ、人だけで全部維持していくのは難しくなるんじゃない?」と感じることがある。
だから僕は、センサー、衛星、ドローン、AI画像解析、デジタルツイン、予防保全といった技術に興味がある。
「壊れたから直す」のではなく、「壊れる前に見つける」。
これが2046年には当たり前になっているのかもしれない。
でも世界中が「古いインフラ」に困っているわけではない
ここで日本だけを見ていると、未来を見誤る気もする。
日本やアメリカ、欧州などでは、すでに造った巨大なインフラをどう維持するかが重要になる。一方、世界にはこれから道路、電力、水道、通信、住宅などを整備していかなければならない地域もある。世界銀行も、低・中所得国を中心に大きなインフラ格差が残っていると指摘している。
つまり2046年には、「古くなったものを守る世界」と「これから新しく造る世界」が同時に存在しているのかもしれない。
20年後の企業を考えるなら、日本だけでなく、アメリカ、アジア、アフリカ、中南米まで見ていきたい。
朝7時、AIは何を食べて動いている?
AIが今日の予定を全部考えてくれる。でもAIは何もないところから動いているわけじゃない。
データセンター、半導体、電力、冷却設備、水、送電網。そして、それらを造るための資源がいる。
2026年の今は「どのAIが一番すごい?」という話が多い。でも僕は、その一段下も気になる。
AIがものすごく普及したら、今度は何が足りなくなるんだろう。
IEAは重要鉱物需要が2040年までにほぼ倍増するシナリオを示し、銅は電力網や次世代技術を背景に約700万トンの需要増を見込んでいる。
AIの未来を考えていたはずなのに、最後は銅や電力、水みたいなものに戻ってくる。僕はこの感じが結構好きだ。
デジタルの未来ほど、実は大量の「物」が必要になるのかもしれない。
→ 資源制約・銅から考える20年投資|MLIを長期保有する理由
朝8時、人が足りない街を誰が動かす?
2045年の日本は総人口約1億880万人、15〜64歳人口は約5,832万人と推計されている。
でも工場も物流も建設も介護も農業も、なくなるわけではない。道路の点検もしなければならない。
だから僕は「AIやロボットに仕事を奪われる」という話より、「人が足りなくなった仕事を、誰がやるんだろう」という方が気になる。
ここで人型ロボットやPhysical AIが出てくる。人間の仕事を全部奪うからではなく、人間が少なくなっても社会を回すために必要になるかもしれないからだ。
昼12時、食べ物と水は普通に手に入る?
2046年になっても、普通に店へ行けば食べ物が並んでいてほしい。
でもその「普通」を維持するには、農業をする人、水、肥料、エネルギー、輸送、安定した気候など、いろいろなものが必要になる。
農業ロボット、自動運転農機、精密農業、水管理。結局、人間が生きている限り、食料と水がいらなくなる未来はたぶん来ない。
午後2時、世界で人がもっと動くようになったら?
2046年には、今より国境を越えて暮らす人が増えているかもしれない。仕事、安全、人手不足など、人が移動する理由はいろいろある。
移民については国によって事情も違い、考え方も分かれる。ここで僕が是非の答えを出したいわけではない。
ただ、世界中の人が行き来する時代に、その国や地域が持っている文化やアイデンティティはどうなるんだろう。
言葉、祭り、食文化、歴史、宗教、地域のコミュニティ。
「異なる文化と一緒に暮らすこと」と「自分たちの文化を次の世代へ残すこと」をどう両立するのか。
これも2046年には今以上に大きなテーマになっているかもしれない。翻訳AI、教育、文化保存、デジタルアーカイブ、コミュニティ形成など、投資とは遠そうな場所から新しい企業が生まれる可能性もあると思う。
午後3時、資源を「掘る」だけで足りる?
AI、ロボット、EV、データセンター、送電網。社会が高度になるほど資源が必要になる。
でも資源は無限ではなく、世界のどこにでも同じように存在するわけでもない。重要鉱物は経済安全保障とも結びついている。
そこで面白いと思っているのが、「掘る」だけではなく「戻す」技術。
IEAは主要なエネルギー鉱物で、リサイクル由来供給の比率が現在のおよそ10%から2040年には20%近くまで高まる可能性を示している。
リサイクルというと「環境に優しい」というイメージが強い。でも資源が本当に不足する世界なら、リサイクル技術そのものが資源確保の技術になる。
午後5時、僕は69歳。でも「老人」なのかな?
2046年の僕は69歳。でも科学や医療が進歩していたら、69歳でも普通に働いているかもしれない。
WHOは2050年には世界の60歳以上人口が約21億人になると見込んでいる。
最初は「医療AIや手術ロボットが伸びそうだな」と考える。でも、よく考えるとそれだけじゃない。
何歳まで働く? 老後って何歳から? 100歳まで生きるなら老後資金はいくら必要? 家はどうする? 60歳から大学へ行く人が普通になる?
長く健康に生きられるようになれば、医療だけでなく住宅、交通、都市、金融、教育、働き方まで変わるかもしれない。
人間が長く生きるようになったことで、初めて生まれる問題。ここには、まだ僕自身が想像できていない産業がある気がする。
→ 高齢化・医療から考える20年投資|ISRGを長期保有する理由
午後7時、便利になるほど守るものも増える
車、銀行、病院、仕事、行政。ほとんどがデジタルにつながり、AIが僕の代わりに買い物や契約までしているかもしれない。
そこで怖いのが、「本当に僕が頼んだの?」という問題だ。
AIがAIと話す社会なら、本人確認、アクセス権、データ保護、AIそのものへの信頼がもっと重要になる。
サイバーセキュリティは、PCをウイルスから守るだけではなく、デジタル社会の「信用」を守るインフラになっているかもしれない。
→ NTSKを大幅下落でも見る理由|サイバーセキュリティの長期投資仮説
夜9時、便利になった僕は幸せなんだろうか
AIが仕事を助け、ロボットが働き、買い物もしてくれる。病院へ行かなくても診察してもらえる。
ものすごく便利になっているかもしれない。
でもふと思う。朝からAIと話し、仕事でもAIと話し、買い物もAI。一日中、人と直接話さなくても生活できる。
それって幸せなんだろうか。
WHOは現在すでに、世界のおよそ6人に1人が孤独を経験していると報告している。
誰かに必要とされること。家族。友人。地域。一緒に笑うこと。自分がこの社会の一員だと思えること。
こういうものまでAIが代わりにやってくれるんだろうか。
もしかすると2046年に一番不足しているのは、銅でも、水でも、電力でもなく、「人とのつながり」なのかもしれない。
こうして考えると、投資の見え方が少し変わった
AI、半導体、電力、銅、水、食料、ロボット、インフラ、防災、医療、サイバーセキュリティ、長寿命化、人の移動、文化、コミュニティ、そして孤独。
これらは2046年に突然現れる問題ではない。ほとんどが2026年の今、すでに始まっている。
だから僕は「次に流行るテーマは何?」ではなく、「この問題、20年後にも残っている?」と考えて企業を見てみたい。
10歳の子供が30歳になる世界だから
20年後、僕は69歳。子供は30歳。
その頃、僕がどんな会社の株を持っているのかは分からない。今持っている会社が残っているかも分からない。
でも、子供が30歳になった世界で、人々が何に困っているのか。それを想像することはできる。
人が足りない。資源が足りない。インフラが古くなる。災害に備えなければならない。世界ではこれからインフラを造る場所もある。人はもっと長く生きるようになるかもしれない。国境を越えて人が移動する。違う文化と一緒に暮らしながら、自分たちの文化も残していかなければならない。AIが便利にしてくれた社会で、人とのつながりがもっと大切になるかもしれない。
そしてきっと、今の僕にはまだ想像もできない問題も出てくる。
だったら、その問題を解決している会社の中に、2046年の巨大企業があるのかもしれない。
だから僕は株価だけを見るのではなく、ときどき、「20年後、僕たちは何に困っているんだろう?」と考えてみたい。
これからBon投資ブログでは、その答えになりそうな企業を一社ずつ探してみようと思う。
企業から未来を見るのではなく、未来から企業を探す。
そんな投資も面白いんじゃないかなと思っている。
2046年の困りごとから、実際の企業を調べてみる
未来を想像するだけでは投資にはならない。そこで、この2046年の「困りごと」を起点に、今すでにその問題へ挑んでいる企業を一社ずつ調べることにした。
面白いのは、新しい投資先を探すだけではないことだ。未来企業を調べると、今持っている会社が20年後も競争力を持てるのかという「保有株の健康診断」にもなる。
- Samsara Eco|資源不足・循環型社会 (近日公開)
- Apptronik|人手不足・Physical AI (近日公開)
- Cyera × Netskope|AI時代のデータ保護 (近日公開)
- Databricks × Palantir|企業AIの協調的競争 (近日公開)
- Anduril × PLTR × AXON|AI・自律システム (近日公開)
→ CNBC Disruptor 50【2026年版】全50社と2046年の注目企業 (近日公開)
今の僕が実際に投資しているもの
未来企業の多くはまだ未上場で、直接投資できない。でも、その未来を支える上場企業やETFはすでにある。
僕の現在の投資については、現在の保有銘柄一覧、長期のテクノロジー投資についてはQQQを500万円一括購入した理由、実際の結果は米国株・ETFの運用実績まとめに残している。
この記事で参考にした主な資料
- 国土交通省|社会資本の老朽化の現状
- 気象庁|日本の気候変動2025
- 国立社会保障・人口問題研究所|日本の将来推計人口
- IEA|Global Critical Minerals Outlook 2026
- WHO|Ageing and health
- WHO|Social connection and loneliness
- World Bank|Infrastructure Foundations
※この記事には、2046年の社会について僕自身が考えた仮説や想像が含まれています。将来の社会、企業の成長や株価を予測・保証するものではなく、特定銘柄の売買を推奨するものでもありません。投資判断はご自身の判断と責任でお願いします。
