2021年、僕はCNBCの「Disruptor 50」を見て、これから世界を変えるかもしれない未上場企業をブログで紹介した。
それから5年。2026年版を見てみると、リストの顔ぶれだけでなく、社会が「何を変えようとしているのか」までかなり変わっている。
今回は単に50社を並べるのではなく、「10歳の子供が30歳になる2046年に、どんな問題を解決している会社が必要になるのか」という視点で2026年版を見てみたい。
先に2046年の世界観を読んでいただくと、この記事で企業を見る理由が分かりやすい。→ 2046年の普通の一日から投資先を考えてみた
CNBC Disruptor 50とは?
CNBCが毎年選ぶ、既存産業を変える可能性のある未上場企業50社のリストだ。
2026年の応募対象は、非上場・独立企業で、2011年1月1日以降に設立された企業。応募情報にはビジネスモデル、売上、ユーザー成長、収益性、ブレークスルー技術などが含まれ、約15の定量カテゴリーによるスコアと定性的評価を組み合わせて選定される。
つまり「将来必ず成功する50社」ではない。ただ、今どこに人材と資本と技術が集まり、どんな産業を変えようとしているのかを見る材料として面白い。
2026年のTop10
- Anthropic — AI
- OpenAI — AI
- Databricks — AI・データ基盤
- Anduril — 防衛・自律システム
- Ramp — フィンテック・企業支出管理
- Sierra — AIエージェント・顧客対応
- Mistral AI — AIモデル
- Whatnot — ライブコマース
- Cyera — データセキュリティ
- Notion — 生産性・AI
1位から3位までがAnthropic、OpenAI、Databricks。AIが上位を占めるのは分かりやすい。
ただ、僕が面白いと思うのは「AI企業が多いこと」そのものではない。
AIが、防衛、農業、医療、法律、サイバーセキュリティ、ロボット、産業データといった現実の問題へ入り始めていることだ。2026年版では50社中43社がAIを事業モデルの中核に置くと報じられている。
CNBC Disruptor 50【2026年版】全50社
| 順位 | 企業 |
|---|---|
| 1 | Anthropic |
| 2 | OpenAI |
| 3 | Databricks |
| 4 | Anduril |
| 5 | Ramp |
| 6 | Sierra |
| 7 | Mistral AI |
| 8 | Whatnot |
| 9 | Cyera |
| 10 | Notion |
| 11 | Rippling |
| 12 | Transcarent |
| 13 | Metropolis |
| 14 | OURA |
| 15 | Cognite |
| 16 | Ripple |
| 17 | Samsara Eco |
| 18 | Thyme Care |
| 19 | Vaulted Deep |
| 20 | Canva |
| 21 | Applied Intuition |
| 22 | Carbon Robotics |
| 23 | Socure |
| 24 | Harvey |
| 25 | Lila Sciences |
| 26 | Armada |
| 27 | Waabi |
| 28 | Island |
| 29 | Revolut |
| 30 | Abridge |
| 31 | Perplexity |
| 32 | OpenEvidence |
| 33 | Iambic Therapeutics |
| 34 | Lead Bank |
| 35 | Luma AI |
| 36 | Legora |
| 37 | Cursor |
| 38 | Decagon |
| 39 | Lovable |
| 40 | Saronic |
| 41 | Glean |
| 42 | Replit |
| 43 | Kalshi |
| 44 | WHOOP |
| 45 | Runway |
| 46 | Abnormal AI |
| 47 | Vanta |
| 48 | Polymarket |
| 49 | Shield AI |
| 50 | Apptronik |
※順位・企業名はCNBCが2026年5月19日に公表した2026 Disruptor 50に基づく。
2021年と2026年を比べると、何が変わった?

僕が以前記事にした2021年版の上位5社は、Robinhood、Stripe、Discord、SentinelOne、Didi Chuxingだった。フィンテック、コミュニケーション、サイバーセキュリティ、モビリティが目立つ。
一方、2026年の上位はAnthropic、OpenAI、Databricks、Anduril、Ramp。
5年間で全部がAIになった、と単純化するつもりはない。ただ、AIが一つの業界ではなく、他の産業を動かす基盤になり始めているように僕には見える。
ちなみにDatabricksは2021年版では37位だった。それが2026年には3位にいる。こういう変化を見るのも、このリストの面白さだと思う。
僕が2046年から逆算して気になった企業

僕は50社を「順位が高いから有望」とは見ない。2046年にも残っていそうな困りごとから逆算して見たい。
資源不足・循環型社会:Samsara Eco(17位)
AIや電化が進めば、未来はデジタルになる一方で、資源や素材の問題はむしろ重くなるかもしれない。Samsara Ecoはプラスチックや繊維を原料レベルへ戻す循環技術に取り組む企業だ。
僕が興味を持つのは「環境に優しいから」だけではない。資源を掘り続ける以外の供給手段になり得るかという視点だ。
人手不足・Physical AI:Apptronik(50位)
2046年の日本を考えたとき、僕には「仕事がなくなる」より「働く人が足りない」問題の方が身近に感じる。
Apptronikは人型ロボットを開発する企業。順位は50位だが、僕の2046年投資では順位よりテーマとの接続を重視したい。
AI時代の信用:Cyera(9位)
AIが企業データへアクセスするほど「誰が、どのデータへ、どこまでアクセスできるか」が重要になる。
Cyeraはデータセキュリティを扱う。AIが便利になるほど、その裏側を守る企業の必要性も高まるのではないかと僕は考えている。
→ NTSKを大幅下落でも見る理由|サイバーセキュリティの長期投資仮説
食料・農業・人手不足:Carbon Robotics(22位)
Carbon RoboticsはAIとレーザーを使った農業ロボットを展開している。農業は食料という、人間が生きる限りなくならない問題につながる。
AIがチャット画面から出て、畑で実際に働く。この変化はかなり面白い。
高齢化・医療:Abridge(30位)とOpenEvidence(32位)
長寿命化や高齢化を考えると、医療従事者の負担を減らし、知識へのアクセスを改善するAIも重要になる。
ただし「AI医療だから成長する」と決めつけるのではなく、医療現場で本当に定着するか、規制、精度、ビジネスモデルまで見たい。
→ 高齢化・医療から考える20年投資|ISRGを長期保有する理由
順位ではなく「2046年にも残る問題か」で見る
Disruptor 50はランキングだ。でも僕自身の投資先までランキング順にする必要はない。
僕が見たいのは、その会社が解こうとしている問題が20年後にも存在するか。
- 人手不足 → Apptronik、Carbon Robotics
- 資源制約 → Samsara Eco
- AI時代のデータ保護 → Cyera、Abnormal AI、Vanta
- 高齢化・医療 → Abridge、OpenEvidence、Thyme Care、OURA
- 産業の効率化 → Cognite、Applied Intuition
- 自律化・安全保障 → Anduril、Saronic、Shield AI
こうして見ると、2026年の未上場企業リストが2046年の社会課題マップに変わってくる。
では個人投資家はどうする?

ここに並ぶ企業の多くは未上場なので、通常の証券口座から直接株を買うことはできない。
だから僕は、無理に「今すぐ買える銘柄」を探すより、まず産業構造を見る。
未来企業が伸びるために必要な半導体、データセンター、電力、銅、サイバーセキュリティ、医療機器などは何か。
その周辺には、すでに上場している企業もある。
→ 現在の保有銘柄一覧
→ QQQを500万円一括購入した理由
→ 資源制約・銅から考える20年投資|MLIを長期保有する理由
2046年未来企業研究|実際に調べてみた企業
50社を眺めるだけで終わらせず、「企業から未来を見る」のではなく「未来の困りごとから企業を探す」形で一社ずつ研究を始めた。
さらに、未来企業が僕の保有銘柄にとって競合なのか、補完関係なのかも確認している。
- Samsara Eco|資源不足・循環型社会(近日公開)
- Apptronik|人手不足・Physical AI(近日公開)
- Cyera × Netskope|AIデータ保護(近日公開) — NTSKの20年投資仮説を確認する
- Databricks × Palantir|企業AI(近日公開) — PLTRとの協調的競争を見る
- Anduril × PLTR × AXON|AI・自律システム(近日公開) — 防衛と公共安全の境界を見る
今後はCarbon Robotics、Abridge、OpenEvidenceなども候補にする。ただし企業数を増やすこと自体が目的ではない。
20年後に必要とされる産業が2026年の今どこから生まれ、今持っている会社の投資仮説に何をもたらすのか。そこまで追いかけてみたい。
まとめ|2026年の50社から2046年を考える
2021年にこのリストを見たとき、僕は「これから上場する面白い企業を探すリスト」として見ていた。
2026年の今は少し違う。
10歳の子供が30歳になる2046年を考えるようになって、企業を見る順番も変わった。
どんな会社が伸びる?ではなく、20年後に何に困る?
人手、資源、食料、医療、安全、データ、インフラ。
その問題を本当に解決する会社なら、20年後も必要とされているかもしれない。
CNBC Disruptor 50は、その答えそのものではない。
でも、未来企業を探し始めるための地図としては、とても面白いと思う。
主な参考資料
※本記事は公開情報をもとにした個人的な調査・考察です。CNBCのランキングは将来の企業価値や株価を保証するものではありません。また、未上場企業は一般的な証券口座では直接購入できない場合があります。特定銘柄・未上場株への投資を推奨するものではなく、投資判断はご自身の判断と責任でお願いします。
